「長期・積立・分散」は、資産運用の王道と言われています。その中でも、計画通りに「長期投資」を行うことが1番難しいとされています。新米投資家(2024年1月より投資スタート)である私も、この「長期投資」つまり長く投資を続けることに1番不安を感じています。今回は、インデックス投資にとって大切な要素である「長期投資」について考えていきたいと思います。
『長期投資』を行うべき理由
「過去の株価の動きがどうあれ、明日の株価の上昇下降は五分五分でしかない。株価が次にどう動くかということは、コイン投げと同じで、誰にも予測できないのである。」(『ウォール街のランダムウォーカー』バートン・マルキール著)にも書かれているように、毎日の株価が上がるか下がるかは分かりません。しかし過去のデータから分かることは、長期的かつ平均的には、価格が下がる可能性よりも上がる可能性の方が高いということです。
つまり、どの日に株価が上がり、どの日に株価が下がるかは誰にもわかりませんが、長期間にわたって株式市場にとどまり続けていれば(=長期投資をつづけていれば)、リターンを得られる可能性が高いという事です。
S&P長期チャート
上のグラフから分かる通り、超長期でみると右肩上がりになっていますが、「ITバブル崩壊」や「リーマンショック」の際には大きく下落しています。しかし、過去の実績から、S&P500に連動するインデックスファンドで、投資期間が20年を超えればマイナスになることはなかったとされています。過去の実績は、将来を約束するものではありませんが、資産運用を行うにあたっての重要な情報にはなります。今後も「長期で投資を行うべき」と言うのは、資産運用市場が成長を続けていくことが前提にはなりますが、過去の実績からは有効性が高いと判断しても良いと思います。
『長期投資』が難しいと言われる理由
「長期投資が大切」であることは、投資をしている方なら誰もが1度は耳にしたことがあると思います。理論的には「長期・積立・分散」により、利益が得られる可能性が高くなることは多くの方が知っている・理解していることでしょう。では、なぜ「長期投資」が難しいのか理由を考えていきます。
損失に対して2倍の痛みを感じる
行動経済学の代表的な理論であるプロスペクト理論によると「人は利益を得る喜びよりも、損する苦痛の方が2倍以上強い」ということが明らかになっています。そのため、従来の投資理論では説明のつかない投資家の判断行動の原因になっていることがわかっています。例えば、投資家は収益よりも損失の方に敏感に反応し、収益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすい。一方、損失が出ている場合はそれを取り戻そうとしてより大きなリスクを取るような投資判断を行いやすいとされています。これは、ノーベル経済学賞の受賞者であるダニエル・カーネマンと、エイモス・トベルスキーによって提唱された理論です。
そもそも投資を始めたいと思っていても損失が気になって一歩踏み出すことができないという方も多くいます。この心理もプロスペクト理論から説明ができます。投資すればリターンを得られる可能性がありますが、始めなければ損失を出すことがないためです。これは人間の本能に結びついた行動とも言えるので、投資をなかなか始められない人が多いのは、ある意味で当然の行動なのかもしれません。
『長期投資』を行うために必要なこと
「長期投資」は難しいということは、プロスペクト理論で理解できました。しかし、「長期・分散・積立」投資によって、利益が得られる可能性が高くなることは理論上、正しいとされています。では、難しい「長期投資」を行うために必要なことを考えていきたいと思います。
①自分のリスク許容度を正しく認識する
「リスク許容度」とは、投資をする際、どの程度の価格変動まで(特にマイナスになった場合、どの程度の損失額まで)受け入れられるか(=許容できるか)、という度合いのことをいいます。年齢、収入、資産の状況など人によって、リスク許容度は違います。まずは、投資を始めるにあたって「どの程度のマイナス」なら許容できるかをしっかりと認識することが「長期投資」へ向けての第1歩と言えると思います。
②余裕資金で投資を行う
「余裕資金」の捉え方も人それぞれだと思います。できれば「万一、なくなってしまっても大丈夫(仮になくなっても生活に支障はない)」くらいに捉えたいところです。「2~3年くらいは使わない(逆に言えば2~3年後には必要)」程度に捉えていると、損失が出たときにライフプランに大きな影響が出てしまう事が考えられます。やはり、長期的な意味での「余裕資金」で投資を行う事が「長期投資」にとって大切な事であると言えます。
③緊急時に備えて、生活防衛資金を貯めておく
人生には、失業や突然の病気・ケガによる入院、さらに災害などさまざまなリスクがあり、予測できないことが起こるかもしれません。そのために、投資を行う行わないに関わらず「生活防衛資金」を貯めておくことは必要不可欠であると思います。まして「長期投資」を行うにあたって、必要十分な「生活防衛資金」がないと、不意の支出が必要になった場合に、売却するのに適した状況ではなくても「泣く泣く」資産を売却する羽目になる可能性もあります。「生活防衛資金」の額は、家族の状況や職種などによって大きく変わってきます。「生活防衛資金 計算」等で検索すれば参考になるデータが得られると思います。「長期投資」を行うにためには「生活防衛資金の確保」が重要だと言えます。
④投資の正しい知識を身に付ける
最後に、「長期投資」を行うために、個人的に1番大切だと思う事は、「投資の正しい知識を身に付ける事」だと思っています。なぜなら、どれだけ良い投資商品を組み合わせてポートフォリオを組んだとしても、「なんとなく」「みんなやってるから」「誰かが良いと言ったから」という理由で始めた投資であれば、「プロスぺクト理論」で言うところの「本能的な損失回避の欲求」には抗えないと思うからです。つまり、確たる信念や知識がないと「長期投資」を行う事を目標にしているのに、必要のない「利益確定売り」や「狼狽売り」をしてしまう可能性が高くなると思われます。そのため、「長期投資」を行うためには「正しい投資知識」を身に付けて、掴んで離さない「投資握力」を身に付ける事が大切だと思っています。
私自身、新米投資家(2024年1月投資スタート)であり、大きな下落局面は体験したことがありません。しかしながら、経験がないからこそ、投資の勉強を続けることにより「長期・分散・積立」投資を行っていきたいと思います。また、その知識を大切な人達にも伝えることで、同じように豊かになっていければ嬉しいです。正しい知識を身に付けて、これから来るであろう、さらなる格差社会に立ち向かえる力を身に付けていきましょう。
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